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後味の悪い話 その90

1 :本当にあった怖い名無し:2008/07/23(水) 19:24:17 ID:OftwzmIG0
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前スレ:後味の悪い話 その89
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531 :1/1:2008/08/04(月) 01:55:28 ID:18iaeOaK0
S・キングの「痩せ行く男」

やり手弁護士のハリックには優しい妻と中学生の娘がいて幸せな日々を送っている。
ある日、妻と2人で車で買い物に出かけた帰り、突然妻が車中でオーラルセックスを
しようとハリックのチャックを下ろし始め、びっくりした彼は運転を誤って前方を歩いていた
ジプシーの老婆を轢いてしまう。

ハリックは司法の手にゆだねられる事になったが、警察署長も裁判官も彼の友達で、
おまけに彼は町の名士でもあったため、老婆が物陰からハリックの車目掛けて飛び込んで
来たかのように証拠を捏造され、ハリックは無罪を勝ち取る。
しょせん、旅回りのよそ者であるジプシーと、町の名士で金持ち弁護士とではこれほどまでも
扱いが違うのだった。めでたしめでたし。

と思いきや、裁判所を出てくるハリックの目の前に死亡した老婆の夫かと思われる老人が現れ、
肩にポンと手を置いて耳元で囁いた。「痩せていく・・・」と。

老人はそのまま行ってしまい、ハリックは何のことだか分からなかったが、やがて理由も無く
どんどん体重が減って行くことに気がつく。
彼は太りすぎで医者からさんざん注意を受けていたにも関わらず、すぐに理想的な体重になり、
やがて痩せすぎと言われるほどスリムになった。

532 :2/3:2008/08/04(月) 01:56:23 ID:18iaeOaK0
これはさすがに何かの病気ではないのかと心配になったハリックは病院で何度も精密検査を受けるが、
結果はまったく異常なし。
にも関わらず、どんどん痩せていく。
医者は汗をかきつつ「こんなこともあるのさ。でも間違いなく病気じゃないよ」と気休めばかり。
とすると間違いなく老人の呪いか何かじゃないのかと考えたハリックは、自分と同様に恨みを買っている
と思われる警察署長と裁判官を訪ねるが、署長は全身に特大の”にきび”が無数にできており、肉塊の
ようになってピストル自殺。
裁判官には会えなかったが、彼の妻によると全身から鱗が生え、特別な病院に入院しているらしい。
鱗は顔すらも覆っていて、口がほとんど動かないのでまともに会話もできないという。
警察署長も裁判官も、病院の検査ではまったく理由が分からなかったという点で共通している。

これで間違いない。この現象はあの老人が自分に呪いをかけたのだと確信したハリックは、
あのジプシーの老人を探すが、すでに老人のジプシー一座は次の目的地へ旅立った後であった。
何としても、体重が減りすぎて死んでしまう前にジプシー一座に追いつかなければ。
急いで旅立とうとするハリックだが、しかしハリックの妻がこれに反対。
「病院に入院すれば必ず直るから、そんな馬鹿な真似はやめて」と彼を引き止め、無駄だと分かると
ついには州警察にハリックは精神に異常にきたしているから拘束するようにと通報する。
警察に追われる身となり、このままでは病院に監禁されてしまうので、ほとんど着のみ着のままで旅立つハリック。


533 :3/3:2008/08/04(月) 01:57:34 ID:18iaeOaK0
やがてハリックは、骸骨のような体になりながらもジプシー一座に追いつき、老人に会うことができた。
実は老人は130歳で、ハリックにひき殺された老婆は彼の妻ではなく娘だったのだ。
老人はなぜか全てを知っていた。ハリックの妻が車の中でしたことも、警察が証拠を捏造したことも。
ハリックが署長や裁判官とゴルフをするような仲であることも。
そしてハリックに呪いをかけたと宣言し、このままでは死ぬが、呪いは解かないから苦しめとも言った。

だがハリックは諦めない。
最後の手段で親友のギャングに相談した。
ギャングはハリックの話を信用し、ジプシー一座の乗る車に銃弾を何発も撃ち込んだ。
死人は一人も出なかったが、ジプシーたちはひどく動揺する。
ギャングは「ハリックの呪いを解かなければ次はどうなるかな?」とジプシーを脅迫し、老人はやっと
折れて呪いを解くから明日の昼に近所の公園まで来るようにとハリックに伝える。
(翌朝、ジプシーを襲ったギャングの他殺死体が発見された。)

534 :すみません、ラスト:2008/08/04(月) 01:59:18 ID:18iaeOaK0
翌日、公園に現れた老人は美味しそうなストロベリーパイを持っていた。
「ハリックの呪いは解けないが、誰かに移すことはできる。だからこれを誰かに食べさせろ。ただし、
しばらく食べないでいたり、自分で食べたりするともう一度呪われる」
老人はそう言って去って行った。

呪いのストロベリーパイを誰に食べさせるか、ハリックの心は決まっている。
自分の妻だ。
元はと言えば彼女があんなことさえしなければ何も起こらなかったのだ。
おまけに、自分を警察に突き出そうとまでした。
ストロベリーパイは彼女の好物だしちょうどいいだろう。
ハリックの娘はおばあちゃんの所に預けてある事は確認済みで、家には妻しか居ない。
帰りの旅の最中、ハリックの体重はみるみる増えて、見た目がほとんど骸骨だったのがやっと人間らしく
見えるようになっていた。
家に帰って妻と仲直り(したフリ)をし、おみやげにパイを買ってきたよと言って眠りに付く。
そして目が覚めると家には誰も居なかった。車が無いので買い物にでも出ているのだろう。
台所のテーブルの上には、3分の1になったパイが乗っかっていた。
そして、皿が2枚、使用済みのフォークが2本…
自分の眠っている間に娘が帰ってきて、しかも妻と2人でパイを食べてしまったのだと悟ったハリックは、
倒れそうになるのをこらえながら、残りの3分の1を食べ始めた。


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